静岡市で創業から約60年にわたり、軟包装資材の製造・販売を手がける株式会社静幸産業。医療技術の進歩に伴う高度な品質要求に応え、さらなる安定供給を目指すため、本社隣接地に第2工場を新設しました。「生産性の向上」「防災力の強化」「働く環境の改善」を実現した新工場についてや、複雑な土地開発を乗り越えた行政のサポート、そして人材採用・定着に向けた取り組みについて、代表取締役の杉山守俊様、取締役の小川潤様、工場長の𠮷中忠明様にお話を伺いました。
医療現場の安全を包装資材で守る
(代表取締役)
当社は、創業から約60年、軟包装資材の製造・販売を行っている会社です。ポリエチレン、ポリエステル、アルミ箔、不織布、紙といった柔らかい素材を組み合わせた包材を製造しており、食品や日用品、医薬品など様々な用途で使用されています。
中でも注力しているのが、使い捨て医療機器用の「滅菌包材」です。医療機器に菌が付着することは、患者様の命に関わる重大なリスクとなります。そのためメーカー様は、私たちの包材で機器を密閉し、殺菌処理を施してから現場へ届けます。高圧蒸気やガス、放射線など滅菌の方法は様々です。それぞれの状況に最適な素材を選び抜き、メーカー様と何度もレビューを重ねることで、医療機器を安心して使える環境を支えています。
医療技術の進化と品質要求の高まりを背景に、第2工場を建設
(代表取締役)
平成に入った頃から、院内感染や医療事故が社会的にクローズアップされるようになりました。それに伴って医療技術も飛躍的に進化し、医療機器メーカー様からの品質に対する目も非常に厳格になりました。
国際的な法規・法令に準拠した、よりクリーンで安全な高品質の包材が求められる中、お客様のマーケットは国内にとどまらず海外の先進国や新興国へも広がっています。こうした高度な品質要求と需要拡大に応えていくため、新工場の建設を決定しました。
新工場がもたらした「生産性」「防災力」「働きやすさ」の向上
(代表取締役)
新工場を建設したことで、大きく3つの変化がありました。 1つ目は「生産性の向上」です。本社にあったスリット工程(材料を小幅にカットする工程)と製袋(袋を作る)工程を第2工場に集約させました。これにより、中間材料の移動距離や時間が短縮され、お客様からのタイトな納期や増産にも対応できるようになりました。
2つ目は「防災力の強化」です。2022年9月の台風15号による水害で、工場をやむなくストップする事態に見舞われ、お客様に大変なご心配とご迷惑をおかけしました。その苦い経験を風化させることなく、今回の新工場は災害に強く設計しています。工場の腰壁や空調の室外機、変圧器の架台を高くし、出入口には止水板を設置しました。定期監査でも「これなら万が一の際も安心だ」と高く評価していただき、確かな信頼を裏付ける工場となりました。

3つ目は「働く環境の改善」です。第2工場には、新しく広々とした食堂と休憩スペースを設けました。従業員がより生き生きと働ける環境を目指しているため、新工場を建てた意義はそこにもあったと感じています。

複雑な土地開発や補助金申請を支えた、
静岡市のサポート
(工場長)
静岡市には大きく分けて2種類のサポートをしていただきました。1つ目は土地開発に関わる許認可手続きのサポート、2つ目は資金面に関するサポートです。
新工場の建設にあたって本社周辺の土地を利用したのですが、長年少しずつ買い足してきたこともあり、宅地や雑種地、農地、川、道路などが混在する複合地でした。そのため工場として建設できる状態にするためには、静岡市内のあらゆる部門での確認や手続きが必要になる状況でした。そこで静岡市へ相談したところ、市が窓口を一つにまとめてくださったことで、開発行為の許可手続きなどをほぼ計画通りに進めることができ、非常に助かりました。
また資金面での手続きについては、産業基盤強化本部にご指導いただきました。まずは、地域経済牽引事業の計画承認に向けて書類作成の支援や国の確認を受けるためのサポートをいただき、無事に国への申請・手続きを経て法人税の減税措置を受けることができました。それに加えて、新規雇用に対する補助金も市からいただくことができました。いずれの手続きに関しても非常に細かく丁寧にご説明いただき、適切に対応することができたと感謝しています。
「ありのまま」を伝える採用と、社員の定着を支える環境
(取締役)
会社としてより多くのお客様に安心と安全をお届けし、さらなる成長を遂げるため、近年は積極的な人的投資を行っています。その結果、2024年から現在までに中途・新卒を合わせて20名ほどの素晴らしい人材を迎えることができました。
採用活動で大事にしているのは「ありのまま」を伝える姿勢です。飾りすぎることなく求職者お一人おひとりと向き合い、実際の現場社員との面談や工場見学を通じて、入社後のミスマッチを減らしています。
また、高い定着率を支えるために環境や人への投資を重視しています。「会社としてどのような人材に成長してほしいか」という方針に基づいた階層別の研修を行うほか、新卒社員に対しては既存社員がサポートする「メンター・メンティ制度」を設け、社会人1年目の不安を解消しています。さらに、本社工場の改修や年間休日の増加、時間単位での有給休暇取得、置き型社食の導入など、働く環境の継続的なアップデートも実行しています。
これらに加えて、既存社員の理解と協力も不可欠でした。会社側による各種制度の整備だけでなく、新入社員を温かく迎え入れ、育てる現場の体制があったからこそ、今の定着率があると実感しています。今後も会社としてのサポート体制を強固にしながら、現場の仲間に感謝を忘れず、共に成長していきたいと思います。

移住者から見た静岡市の魅力
「利便性と自然のバランス」
(取締役)
私は元々東京で育ち、弊社への入社をきっかけに静岡市へ移住しました。外から見た静岡市の魅力は「利便性と自然のバランス」にあると思います。東京にいた頃のような人混みや騒々しさは少なく、一定の利便性がありながら、少し車を走らせれば広大な富士山や綺麗な三保の海を見ることができます。
また、都市部との距離感も絶妙です。日本の中心に位置しているため、新幹線を使えば東京へも約1時間、大阪へも約2時間で行くことができます。仕事をする上でも交通の便が良く、非常に暮らしやすい地域だと実感しています。
人材の面でも、広大な自然の中で育ってきたからか、非常に素直に物事を捉えて仕事を進めていただける方が多いと感じます。また、就職を機に静岡に戻ってくる方など、地元愛が強い方が多いのも特徴だと思います。
医療サプライチェーンの責務を果たし、
静岡から世界へ
(代表取締役)
私たちが生産する包材は、お客様の製品を完成させるためにはなくてはならない重要なパーツです。そうした高い水準の要求にお応えするには、従業員一人ひとりの技術や知識が会社の財産になります。だからこそ、今後も人材への投資には時間も費用も惜しまず、次世代を担う優秀な人材の確保と育成につなげていきたいと思っています。
また、医薬品や医療機器に携わるサプライチェーンの一員として、製品の供給を止めることは絶対に許されません。地政学的リスクや予期せぬ災害など様々なリスクに対応すべく、これからもリスクマネジメントを強化し、安定供給を維持することが私たちの最大の使命だと感じています。
私は清水生まれ、清水育ちで、幼い頃から雄大な富士山を見て育ちました。この静岡市が、富士山に負けないくらい魅力ある、活気にあふれた街として発展していくことを心から信じています。これからもこの静岡の地から、世界中の皆さんの健康に貢献できるよう、全社一丸となって歩みを進めていきます。

※本記事の内容は令和8年5月時点の情報です。