AR広告やVRゲーム開発、文化財のデジタル化などのXRコンテンツの企画・開発・コンサルティングを展開する株式会社A440。
同社は事業拡大と研究開発体制の強化を目的に、本社を東京から静岡市へ移転します。
本社移転に伴い、2026年2月4日に静岡市役所にて記者会見が行われました。

本社移転先に静岡市を選んだ理由
令和6年12月に東京で開催されたCGの国際学会のイベントでご挨拶したのをきっかけに、静岡市職員が企業訪問するなどして互いの取組等を情報交換するようになり、夏までに2回静岡市を視察しました。その後、静岡市からの働きかけで、市民向けの3DCG人材育成講座での講師や、スタートアップ関連事業の協業先として、静岡市の事業取り組みに継続的に関わるようになりました。度々静岡市を訪れる中で、静岡市職員や市内学校関係者、地元企業の方々と交流を深めていく中で、同社は静岡市への本社移転を検討するようになりました。
金丸様からは次のとおり移転の理由が語られました。
まずは移動負担の少なさです。
同社は東京に本社を構えていましたが、地方での業務に伴いメンバーが各地へ出向く機会が多く、非効率さが課題となっていました。また、リモートワークの社員も多く、東京に拠点を置く必要性が薄れていたことや、通勤による負担の大きさから、働き方そのものの見直しも求められていました。
静岡市はアクセス性に優れており、全国各地での業務を前提とした場合に合理的な拠点であると評価されました。
また、職員の対応も適切で、進出する際のサポート体制が充実していたことも理由の一つです。

A440の技術開発
現在、A440が取り組んでいる技術開発は大きく3つあります。
1. 高精細スキャン
高精細スキャンとは、実物の形状や質感を高い精度でデジタルデータとして再現する技術です。同社はすでに、金沢市が所蔵する美術品を高精度にスキャンし、仮想空間上で鑑賞できる仕組みを構築しています。伝統工芸品に手軽に触れられる取り組みとして高い評価を得ています。
2. アバターの作成
アバターとは、デジタル空間上での自分自身の分身となる存在です。メタバース時代を見据え、個人をどのように再現し、どのように表現していくかという研究開発を進めています。
3. AR空間における位置推定技術
アバターをAR空間に配置した際に、現実空間とのズレなく正確な位置に表示するための技術を研究しています。
今後は静岡市を拠点にこれらの技術開発を推進するとともに、恐竜の世界を冒険できる「ABAL : DINOSAUR」や、獣医として動物を治療する「WILDLIFE DOCTOR」といったVRコンテンツのリリースも予定しています。
交流の場となる「ラボ」と体験の場「XRスタジオ」
静岡市への移転にあたり、同社は市内に二つの拠点を設ける予定です。
交流の場「ラボ」
市内中心部に設置する「ラボ」と呼ばれるスペースでは、地域住民や地元企業との交流拠点として活用し、地元企業との新たな事業展開が生まれる場を目指します。3Dスキャナーや3Dプリンターなどの機材を備え、ワークショップの開催なども行える場として整備が検討されています。
体験の場「XRスタジオ」
用宗エリアにある倉庫を改修した「XRスタジオ」では、ヘッドマウントディスプレイを用いたフリーロームVRを導入し、初めての方でも気軽に仮想空間を体験できる施設としての展開を目指しています。
こうした技術を通じてA440は、静岡市と連携しVR/XRの社会実装を推進していきます。
たとえば模型産業では、ARで完成イメージを可視化したり、組み立て手順を視覚的にガイドすることで、ものづくりの魅力向上に寄与する可能性があります。
また、デジタルによる可視化の技術は製造業にも応用でき、商品開発時のイメージ共有や提案力の向上など、幅広い活用が期待されます。
挑戦の場や機会の創出
A440の技術は、人材育成の面での活用も見込まれます。
同社は静岡市における若手人材層の厚さに着目する一方、卒業後に東京での就職を志向する学生が多いという課題も認識しています。その背景には、静岡における就職先の選択肢の少なさがあります。
こうした状況に対し、A440は挑戦できる場や機会を創出することで、地域人材が地元で活躍できる環境づくりに貢献していく考えです。
難波市長「取り組みが実を結んだ」
協定式にて難波市長はA440の本社移転について、デジタルエンタメ企業の集積に向けた取り組みが実を結んだ結果だと述べるとともに、大きな決断に感謝の意を示しました。また、これまで同社が文化資産のデジタル化や市の事業に関わってきた実績にも触れ、「革新的な技術に可能性を感じている」と評価。今後は、静岡市から多くの人を魅了するコンテンツが生まれることが期待されます。
